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06年度大阪府予算について

大阪府職員労働組合・平井賢治、同・横溝幸徳

府民向け予算や人件費を削減し、アジア関連イベントや大型公共事業へ

 大阪府は、2月20日2006年度当初予算案を発表しました。06年度予算の編成方針は、第1に行財政計画(案)に記載した行財政改革の取組を着実に実行する。第2に歳入を見通した上で歳出の上限を設定するなど、どうしても06年度に実施しなければならないものに限定する。第3に「アジアの中枢都市・大阪ビジョン(仮称)」(案)の事業や「7つの戦略的取組分野」への重点化を図るなど施策の選択と集中を行うとしています。要するに、行財政計画(案)に基づき、府民の福祉、教育、医療関係予算を抑制・削減するとともに、府職員の削減と賃金の引き下げにより人件費を削減する一方で、07年アジア主要都市サミット(仮称)の開催や08年先進国首脳会議誘致などイベントの推進と広域的なネットワークの確立の名による関西国際空港2期事業や阪神高速整備をはじめとする大型公共事業に回そうというわけです。三位一体改革のツケはそのまま府民に回されます。

一般会計3兆1229億円、前年度比で0.7%増

 06年度の予算規模は、一般会計3兆1229億円で前年度比0.7%増となっており、特別会計1兆1939億円(前年度比8.5%減)を加えると、4兆3168億円(前年度比2.0%減)となっています。

 経常収入(府税、地方譲与税、地方交付金等)が2兆88億円と前年度比200億円の増加となり、経常支出(義務的経費、一般施策経費の補助金等)は2兆1235億円と前年度比39億円減少しています。経常収入から経常支出を差し引くと1147億円不足となり、財源対策として減債基金繰入金1133億円と地方債450億円を活用したといえます。

税収伸びは小さく政府のツケは重く

 一般会計の内訳を見ると、歳入では、税収が11944億円で441億円増、うち法人二税が4723億円で前年に比べ253億円増加しました。この水準は、底である02年度決算(3554億円)と比べると1169億円増加していますが、1984年度決算(4716億円)並でありピーク時(1990年決算8352億円)の56.5%となっています。法人二税は98年・99年に税率が12%から9.6%に引き下げられており、その影響が大きく97年の水準に達するまでにはいたっていません。

 また、三位一体の改革(03年度から06年度までの国庫補助金負担見直しに係る財源措置)に伴い所得譲与税が1468億円と前年度比1003億円増となり、地方譲与税が1523億円となっていますが、増加分は、地方特例交付金420億円と教育費負担金等409億円の振り替えと児童手当給付金等にかかる事務移管による332億円の歳出増に対応するもので、経常収支にかかる補助金改革の差し引きでは実質では158億円のマイナスとなっています。

 一方で、地方交付税は2400億円で前年度に比べ500億円減(17.2%減)となっています。これは、441億円の税収増を59億円上まわる減少で、人件費と投資的経費にかかる基準財政需要額の圧縮の影響です。02年度決算(3391億円)のピーク時からは991億円減少しています。

公債費減少と人件費削減で経常支出抑制

 歳出では、公債費が減少しましたが人件費はさらに削減されました。人件費は9085億円で前年度比133億円減(1.4%減)となっています。一般行政部門の職員数を100名削減するとともに平均5.3%の給料引き下げなど全国最低レベルの給与水準を維持するとしています。96年以降約2850名の人員が削減されました。その多くは、保健所の統廃合や福祉施設の廃止、業務や施設の民間委託などいずれも府民の生活や健康を守る第一線で働く職員が削減されています。06年度は府立5病院の独立法人化、ドーンセンターや府営公園、青少年施設など公的施設への指定管理者制度の導入、レントゲン検診車「ハト号」の大幅削減、業務の民間委託化などが進められようとしています。

 公債費の減少と人件費の削減で、経常収支は前年比239億円改善していますが、なお1147億円の財源不足となっています。

償還元金より多い公債発行で府債残高5兆円に

 府債発行額は2427億円で前年度に比べ68億円増(2.9%増)となっています。内訳は、元利償還金の全額が地方交付税で措置される臨時財政対策債・減税補填債が850億円、財源対策による財政健全化債等で450億円、その他建設事業等で1127億円となっています。また、前年度との増減の内訳を見ると、臨時財政対策債・減税補填債が140億円減少し、財源対策で85億円減少しているにもかかわらず、その他建設事業等で123億円増加しているのが特徴です。これは投資的経費にかかる補助金105億円が純減となったことに見合うものです。

 この結果、公債費は利子支払額の減少等により239億円減少しているにもかかわらず、府債残高は672億円増加し5兆284億円とはじめて5兆円を突破しました。太田知事就任以降実に約1兆円もの借金を増やしたことになります。

大型公共事業は温存

 建設事業費は2899億円と前年度に比べ30億円減(1.0%減)と微減にとどまっています。三位一体改革に伴い社会福祉施設整備費(42億円)などが国庫補助事業から単独事業へ変更となったこともあり、国庫補助事業は2108億円(前年度比105億円減)となり、単独事業は警察本部庁舎建設費などを含め791億円(前年度比75億円増)となっています。

 関西国際空港2期事業や集客利用促進(15億円)、阪神高速道路(大和川線・淀川左岸線)の整備(69億円)、安威川ダム建設(74億円)、水と緑の健康都市(86億円)、国際文化公園都市(38億円)など抜本的な見直しも行わず、既得権益としてあいかわらず大きな予算がつぎ込まれています。

大阪府民には「お寒いかぎり」の予算

 太田知事は、06年度予算案を「大阪のにぎわい創造2006予算」と名づけ、(1)アジアのにぎわい都市・大阪づくり(2)大阪の安全・安心(3)子ども施策、こころの再生と次世代育成の3つのテーマを掲げました。しかし、この言葉とは裏腹に、府立高校授業料の減免制度の改悪、私学助成の据え置き、生活保護関連予算の削減などを含め、06年度予算案は大阪府内に住み・働く住民にとって「お寒いかぎり」といえます。

 なお、(1)の予算の重点は、VISIT OSAKAキャンペーン、関空集客利用促進などお祭り騒ぎに金をつぎ込むようなものとなっています。(2)には安威川ダム工事、警察官増員などが含まれています。(3)は、学力向上のための35人学級、不登校対策費、学校安全緊急対策費など当面の対策が主なものです。

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