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輝きある高齢社会をめざして
退職後も自治体労働者の専門性を地域で活かそう!

大阪自治体問題研究所・理事  徳畑 勇

高齢者の願いに応えられる社会を

 いうまでもなく現在の日本は、戦後60年を超えて現役世代(60歳以下)が全て戦後生まれの社会になりました。少子化が大きな社会問題として浮上するとともに高齢化社会に突入した日本の将来を憂う論調がマスコミを覆う昨今です。

 現実の政治も小泉「構造改革」の名の下に、少子・高齢化社会にそなえて年金、医療、介護などの社会保障の「抜本見直し」と称して次々と改悪を重ね、年金収入を生活の基盤とする高齢者の生活不安、安心して医療にかかれない健康への不安は増大するばかりです。

 そして、今年は高齢者を対象にした医療制度の改悪、介護保険料の大幅引き上げや年金制度は、「共済・厚生年金の一元化」の名の下に現役世代への負担の増大と給付の削減をさらに進め、現在受給されている共済年金額の引き下げにも手をつける考えが示されています。深刻なことは、「構造改革」によって高齢者になってから生活保護世帯に転落するケースが急増していることです。これらの根本原因は、新自由主義による弱肉強食の格差拡大社会をつくり出している小泉政治にあることは明らかです。

 こんな具合に世の中を見ていくとお先真っ暗になってしまいます。しかし、高齢化社会は果たして暗い社会なのでしょうか。決してそうではないと思います。

 団塊の世代がいよいよ定年を迎え大量に高齢者の仲間入りをしてきますが、60代はまだ若いと働く意欲を持ち社会に貢献しようとする人が多数いることを忘れてはいないでしょうか。60歳を過ぎると確かに加齢による体力の衰えや疾病のため労働が困難になる方もありますが大多数は元気な高齢者です。むしろ、長年働いてきた労働や専門的な仕事、知識を活かして生き生きと高齢期を過したいと願っている人が多いと思います。年金生活をしつつ地域で積極的にボランティア活動に参加して社会貢献している人達もいます。このような高齢者の願いに応えられるような社会の仕組みをつくっていく努力こそが求められています。

地域で期待される自治体労働者OB・OG

 「一人の高齢者が死ぬと一つの図書館がなくなる」「高齢者は過去、現在、未来の仲介者である」と2002年4月、国連第2回高齢化問題世界会議でアナン事務総長が発言しました。私はこの言葉が大好きです。

 現実の社会でも実際には多くの高齢者が社会のさまざまな分野で活躍しています。元気な高齢者はいっぱいいます。たとえ肉体的な衰えや加齢による障害はあっても、人生を生き抜いてきた豊かな知識や経験、力量を発揮して社会に貢献することは可能です。

 そして、高齢者は家族の中や人と人、世代と世代のつながりの結び目となっており、その存在そのものに値打ちがある社会の宝物です。

 私が現在関わっている「国連高齢者の10年大阪NGO会議」では、2004年7月に『輝きのある高齢社会をめざして―自立・参加・共生―』の呼びかけの文書を冊子で発行しました。

 この呼びかけの趣旨に沿って、改めて衛都連OB・OGのみなさんやこれから定年退職を迎える団塊の世代のみなさんに、自治体労働者の専門性を活かして地域社会で大いに役割を発揮していくための学習や交流を深める活動に参加して欲しいと願っています。

 昨年、7月2日、第5回自治体職員・衛都連OB・OG会員学習交流会を開催し、「衛星都市の自立をめざして地域内分権を」をテーマに「自治体をめぐる状況と退職者世代への期待」と題して森裕之先生(立命館大学助教授)に講演していただきました。

 講演の中で「衛星都市では、住民参加は容易ではないが『自立都市』めざして住民パワーを発揮するためには、大胆に地域内(都市内)分権を進めることが求められる。このカギを握っているのが、定年退職した労働者が地域でどれだけ役割を果たせるかにかかっている」「中でも自治体行政に精通する自治体労働者OB・OGが、自分の住んでいる地域で果たすべき役割は大きい。これから定年を迎える大量の団塊の世代が、どのようにそれぞれの専門性や能力を活かして地域社会に貢献するかは重要なテーマである」「特に、自治体職員のOB・OGが中心になって地域で『コミュニティー・シンクタンク』の輪を広げる運動などへの参加を大いに期待している」と強調されました。

 これまでの学習交流会では、毎回30名前後の参加者があり、学習と交流そして杯を交わしながらの懇親も深めてきました。講演では、第1回「21世紀の地方自治を展望して」重森暁先生、第2回「公共事業をどう変えるか」保母武彦先生、第3回「市町村合併と21世紀の地方自治」加茂利男先生、第4回「維持可能な社会の創造を地域から」遠州尋美先生、第5回「衛星都市の自立をめざして地域内分権を」森裕之先生にお願いしてきました。いずれもときどきの情勢にかみ合った内容の講演でした。

 経験報告では、退職後の福祉施設での活動、市民NPOでの経験、地域革新懇運動の経験、地域での年金者組合活動、地域でギャラリーを拠点にした文化活動、合併反対で中間管理職を対象にした活動、市商工会議所専務理事として中小企業を守る仕事に携わったOBの経験、千里ニュータウンの再開発事業で住民本位の街づくりに自治会長として関わった活動、阪南自治体労働行政協議会で行政担当者として先進的労働行政をめざした経験、保守市長の下で幹部職員として仕事をしてきた悩みと努力、等など改めてそれぞれが多様な分野で役割を発揮していることを聞いて学び、活動をお互いに共有できたことは有意義であったと思います。

自らがどう輝くのか

 私も定年退職して6年経ち、一昨年、前期高齢者(65歳〜75歳)の仲間入りしました。幸い現在のところ健康には恵まれており、まだまだ、いろんなことをやってみようとの意欲を持てている状況です。現在、東大阪市では、東大阪革新懇の世話人、「枚岡の自然と文化を大事にする懇話会」(小地域革新懇)事務局、年金者組合東大阪支部書記長、「9条の会・東大阪」世話人など結構忙しく日々を過しています。

 今年は特に、「9条の会・東大阪」の活動や平和憲法を守る運動を中心にして頑張ろうと思っています。私たちが辛うじて戦争体験の最後の年代だという思いもあり、憲法9条を子どもや孫にしっかりと手渡していく責任も感じて地域で声を大にして活動しなければと思っています。

 輝きある高齢社会をつくるためには、自らがどう輝くかの努力が不可欠です。そして高齢者が豊かな経験を活かしてしっかりと手を結び、現役世代、若い世代にメッセージを発信することが大切ではないでしょうか。大阪自治体問題研究所の衛都連OB・OG会員の学習交流を通じてお互いが学びあい、何らかの手がかりがつくれればと思っています。衛都連退職者会や大阪府職員退職者会、大阪市役所退職者会、年金者組合大阪府本部など大阪高齢者運動連絡会に参加する仲間とも手をつないで豊かな高齢期を過せるよう、輝きある高齢社会めざしてともに手を携えて行きたいと思います。

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