トップ  >  月刊誌(おおさかの住民と自治)  >  あのまちこのまちから  >  あのまちこのまちから6:エコでつながる西淀川推進協議会 ―廃油回収が地域を結ぶ―

今回のあのまちこのまちは、大阪市西淀川区にあるあおぞら財団をたずね「エコでつながる西淀川推進協議会の活動を取材しました。当日は佃連合振興町会(以下、佃連合)の環境衛生部部長の津田さん、副部長の阿南さん、あおぞら財団の小平さんにお話をうかがいました。

エコでつながる西淀川推進協議会は、学校や振興町会、NPO、企業などが参加する環境まちづくりの市民団体です。活動の始まりは菜の花プロジェクトの取組みで、ESD(持続可能な開発のための教育の10年)の活動として、年代を超えた人のつながりと学びを大切に、持続可能な社会を目指したものです。活動は?菜の花の栽培、?廃食油(以下、廃油)回収などに取組んでいます。今回は廃油回収の取組みを紹介します。

年間6000リットル回収―量ではなくつながりの指標

2012年度1年間の廃油回収量は6、088リットル、一般家庭の年間使用量に換算すると2、742世帯分に当たります。地域での回収拠点は60ヶ所で、西淀川区以外に淀川区、東淀川区、福島区に及びます。2007年に西淀川高校の菜の花プロジェクトの取組みを地域で協力して拡げようと4ヶ所で始めました。現在の拡がりは、小学生から大学生までの子どもたちが頑張っている様子を見た活動への共感により、回収拠点が増えていったことによります。中でも2011年度から参加した佃連合は、回収拠点60カ所のうち20カ所に及びます。ちなみに西淀川区の拠点は約40カ所です。

佃連合は20町会で構成され、町会加入率が60〜70%です。廃油回収量は昨年度2、197リットル。一般家庭の廃油回収量から試算した回収率は16・7%になります。回収の家庭負担として、廃油をペットボトルなどに溜めて置き、原則月1回の指定日に回収拠点まで運び、回収缶に移し替えてもらう作業があります。津田さん、阿南さんによれば家庭ではこの手間が大変で、2012年5月に佃連合で実施したアンケートでは7割の家庭が捨てていると言います。家庭の負担を考え、阿南さんは自宅での回収と町内を回って古紙と一緒に回収する工夫をしています。町内を回ることでお年寄りへの声かけや近所の人との世間話を通じて日常的なつながりが生まれていると言います。廃油回収をきっかけに地域とのつながりが強くなっています。

100%のリサイクル

廃油は尼崎市海岸町にあるリサイクル会社の浜田化学(株)が引き取り、資源の循環に協力しています。浜田化学(株)では、集めた油の品質に応じて、ハンドソープ、バイオディーゼル燃料、肥料、飼料などに全てリサイクルされます。浜田化学は先代の代表取締役が佃地区にお住まいで、現在の代表取締役の岡野嘉市さんも佃中学校出身でこの関係が生まれたと言います。

浜田化学は、以前から法律で回収が義務付けられない家庭の廃油回収を進めたいと、経済産業省のモデル等になり先代の岡野社長が住む佃コーポで家庭からの廃油回収を続けてきた経緯があります。

支えるあおぞら財団

この活動の事務局として支えているのがあおぞら財団です。あおぞら財団の正式名称は(公財)公害地域再生センターです。西淀川大気汚染の公害患者さんたちが公害裁判の企業との和解金を用いて1996年に設立した環境NPOです。廃油回収をさらに拡げるために回収を呼び掛けるポスターがあればとの発案から、先のお二人が呼び掛け、佃南小学校5、6年生が図工の時間にポスターを描き、そのポスターコンクールでの最優秀賞を使った呼び掛け用ポスターが、当日出来上がっていました。

今後も口コミで取組みを拡げて行きますが、全区、全市的に拡げていくためには、行政の支援も必要だと言います。「継続していくために活動費をどう捻出するか、悩みです」と小平さんは少し声をひそめて話してくれました。取材の3人も早速ハンドソープと詰め替えセットを購入しました。3人の方に成り代わりお願いします。協議会やあおぞら財団の活動への参加や寄付を、また、廃油回収所も募集しています。大阪市内であればご相談に応じますので、興味のある方は左記の財団まで連絡を。

*公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)06−6475−8885
(編集委員佃孝三)

 


 

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