声明・提言等  >  意見書「第5次エネルギー基本計画は、国民的な議論のもとに策定し、原発0とともに、脱炭素社会を実現する計画とすることを求めます」 [2018.1.17]

2018年1月17日

第5次エネルギー基本計画は、国民的な議論のもとに策定し、
原発0とともに、脱炭素社会を実現する計画とすることを求めます

一般社団法人 大阪自治体問題研究所 理事会

 現在、経済産業省総合資源エネルギー調査会基本政策分科会において、2030年の温室効果ガス26%削減(2013年度比)目標必達等に向けた1次エネルギーのあり方を定めるべく、第5次エネルギー基本計画策定の議論が進められています。また、経済産業大臣のもとで、2050年までの長期的視野に立ってエネルギー政策の方向性を検討するとしたエネルギー情勢懇談会が並行して開催されています。

 政府は、第4次エネルギー基本計画を2014年4月に閣議決定し、翌年7月に長期エネルギー需給見通しを策定して2030年の電源構成を示しました。そこでは、再生可能エネルギーを22〜24%程度に見込むとともに、原子力発電を20〜22%程度、石炭火力発電を26%程度と位置付けています。

 これまでの基本政策分科会及びエネルギー情勢懇談会の議論では、原子力発電・石炭火力発電を引き続きベースロード電源と位置付け、原子力発電の再稼働・新規設置や石炭火力発電の経済性を優先しようとする議論が先行しています。

 しかし、国民世論は、現在も、原子力発電の再稼働に大きな懸念をもっており、全国各地で再稼働反対の運動が続いています。東京電力福島第一原子力発電所事故の原因究明と事故処理はその途上にあり、その過酷事故発生時にコントロールすることができなかった事実は深く国民の胸に刻み込まれています。

 また、第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(2015年)は、地球の平均気温の上昇を工業化以前から 2℃を十分下回る水準にすることを目的に、各国がそのための取組みを進めるしくみ(パリ協定)を確認しました。パリ協定は、今世紀後半には温室効果ガスの排出を実質排出ゼロにすることを目標としており、日本は2030年26%削減(2013年比)、2050年80%削減を国際公約としています。

 当研究所は、原子力発電0のエネルギー社会を築くとともに、温室効果ガスの大幅な排出削減、再生可能エネルギーの飛躍的な拡大を両立させた電源構成を実現すべきと考えます。今、必要なことは、国民世論に沿い、パリ協定の合意を受けて、次世代にも禍根を残さないエネルギー基本計画を策定することです。

 関西電力大飯原子力発電所1、2号機の廃炉決定は、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分にかかる未確定な費用負担を除外しても、現行の安全対策費用の投資の範囲で原子力発電が経済的に成り立たないことを示唆するものです。また、四国電力伊方原子力発電所3号機の運転差止仮処分は、地震や火山活動に対する安全性確保対策が私たちの世代を超えた長期にわたる視野に基づいて求められることを改めて明らかにしました。

 NPO法人気候ネットワークの調査によれば、この間、日本国内における石炭火力発電の建設計画が推し進められ、2012年以降、46基、2100万kw(うち、4基50万kwは既に稼働中)の建設計画が明らかになっています。試算では、これらの火力発電所が稼働すれば1億トンを超える二酸化炭素の排出源となり、その量は日本全体の排出量の1割にも相当するものです。とりわけ、神戸製鋼が進める神戸市灘区の石炭火力発電所建設は、かつての大気汚染被害の教訓を何ら顧慮しないものです。当研究所は、こうした計画を認めることができません。

 2011年3・11以降、国民の中にはエネルギー政策に対する大きな変化が生じました。それは、「原発に頼らないエネルギー社会をどう作るのか」「再生可能エネルギーをどう普及・拡大するのか」「これまでの原発の負の遺産をどう解決するのか」「省エネ社会をどのように作っていくのか」「公正・中立的なエネルギー市場を創るために電力システム改革をどうすすめるか」など多岐にわたる問題意識となって深化しています。
 国民世論は、今後のエネルギー政策に関して多くの議論を育んでおり、この機会にその成果・果実を第5次エネルギー基本計画策定に生かす必要があります。

 第4次エネルギー基本計画では、エネルギー政策の策定にあたって、「政府による関連情報の開示、徹底した透明性の確保が何よりも重要である」としました。そして、「メディア、民間調査機関や非営利法人等に対する情報提供を積極的に行い、第三者が独自の視点に基づいて情報を整理し、国民に対してエネルギーに関する情報を様々な形で提供することで、国全体としてエネルギーに関する広報が広く行われるような環境を実現していく」ことや、「国のみがエネルギー政策の立案・運用に責任を持った形にするのではなく、自治体、事業者、非営利法人等の各主体がそれぞれ自らの強みを発揮する形でエネルギー政策に関与している実態を踏まえ、これらの主体を新たに構築していくコミュニケーションの仕組みにしっかりと位置付け、責任ある主体として政策立案から実施に至るプロセスに関与していく仕組みへと発展させていくことが重要である」としました。

 そこでは、国民との「双方向的なコミュニケーションの充実」を図るとして、「エネルギー政策の立案プロセスの透明性を高め、政策に対する信頼を得ていくため、国民各層との対話を進めていくためのコミュニケーションを強化していく」ことが謳われています。

 国のエネルギー政策は、国民生活や産業基盤、生産活動にとって重要な政策決定となります。そのため、計画策定に当たっては、国民の総意を反映した計画とすべきです。第5次エネルギー基本計画の策定にあたって、政府の責任において国民的な議論を喚起し、第5次エネルギー基本計画を国民的創意・意思によって練り上げていくことが必要です。

 以上に鑑み、当研究所は以下の点を求めます。

1.国民から信頼される第5次エネルギー基本計画を策定するために、情報公開の確保の下で中立性・透明性の高い議論の場を政府の責任で早急に設定すること。

2.第5次エネルギー基本計画は、第4次エネルギー基本計画を抜本的に見直し、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた、新しいエネルギー社会のあり方として議論すること。

3.第5次エネルギー基本計画は、2030年ではなく、2050年から今世紀末を視野においた議論を行い、石炭火力発電の新増設を取りやめ、原子力発電0のエネルギー社会を築くとともに、温室効果ガスの大幅な排出削減、省エネと再生可能エネルギーの飛躍的な普及・拡大を盛り込んだ計画とすること。

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