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医療・介護総合法における、病床削減や新たな患者負担増を止め、
医療・介護が必要な人は誰でも利用できる政策への転換を求める声明

2014 年12 月18 日
一般社団法人 大阪自治体問題研究所理事会

 2015 年1月から開かれる通常国会では、6月に成立した医療・介護総合法の具体化が進められようとしている。医療では「入院から在宅へ」を口実に、入院期間を縮め、入院患者数を2025 年に向けて2割カットする計画である。治っていなくても退院を迫られる入院期間の短縮は、患者の命を縮める行為である。介護では、65 歳以上で要介護認定を受けていることを要件とする特別養護老人ホーム(以下、特養ホーム)について、利用できる要件を要介護認定3以上に限定するとしている。要介護1、2であっても介護者の不在、介護困難など様々な困難を抱えている。特養ホームは、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的施設である。特養ホーム不足の解消は、対象者の差別化、限定化ではなく、抜本的増設こそ必要である。さらに要支援者は事実上、介護保険サービスの対象者から外される。要支援者の訪問・通所介護のサービスは、介護保険から市町村事業に移すとしている。しかし、財源や人員確保の困難からサービスの水準の低下や利用料の引き上げが懸念されている。

 また、新たに患者負担増、国民健康保険(以下、国保)の都道府県運営移管、患者申出療養の創設等の法案提出が予定されている。

 患者負担は、入院時の食事の自己負担引き上げや、大病院での紹介状の無い受診への定額負担導入、医療費が高額となった場合の自己負担限度額について70 歳以上の場合の限度額引き上げが検討されている。市町村国保の都道府県単位化は、国民の3分の1が加入し、国民皆保険の最後の砦である国保の運営母体を、現在の市町村から都道府県に移すもの。これにより、市町村独自の保険料減免、分納、相談事業などのきめ細かい施策が失われる。政府の医療費抑制政策の下、医療費の総枠を決められ、医療費が超過した都道府県にはペナルティが課せられるため、保険料は引き上げられ給付は削減される。大阪では高すぎる保険料を払えず、滞納処分から預金口座の差押さえに発展する事態が問題となっている中で、いっそう住民の実態から目を背ける結果を招く。患者申出療養は、安全性、有効性が不確かな医療を、患者と医療機関の責任において保険外で認めるものである。事故については患者と医療機関の責任とされ、国の補償はない。また、安全性、有効性が認められる医療は保険で誰もが受けられるべきである。アベノミクスの成長戦略に乗じて、松井一郎大阪府知事、橋下徹大阪市長が、保険診療と自由診療の併用を認める混合診療特区を提案している問題を含め、患者の経済力によって受けられる医療に格差が生じる事態は看過できない。

 わたしたち、住民が主人公の自治体を目指して取り組む大阪自治体問題研究所は、以上のような国の医療費抑制政策の下で住民の生命や健康が脅かされる事態を認めることはできない。病床削減や新たな患者負担増を止め、医療・介護が必要な人は誰でも利用できる政策への転換を求めるものである。

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