トップ  >  橋下大阪市長による「労組事務所問題」での地裁判決に対する控訴取り下げを求める声明 [2014.10.15]

2014 年10 月10 日
一般社団法人大阪自治体問題研究所理事会


 2014 年9 月10 日、橋下市長の大阪市役所労働組合(略称:大阪市労組)などに対する組合事務所使用不許可に対して、大阪市労組など労組8団体が庁舎の使用不許可処分の取り消しなどを求めた事件で、大阪地裁は、「橋下市長には職員の団結権を侵害する意図があり、処分は裁量権の乱用で違法だ」として、処分の取り消しと大阪市に計約400万円の損害賠償の支払いなどを命じた。また、大阪市が不許可の根拠とした労使関係条例については「違法行為を適法とするために用いれば憲法に違反して無効」との判断を下した。

 今回の地裁判決の特徴は、第1 に、橋下市長就任後の労働組合に対する様々な団結権の侵害を認めたこと。第2 には、そのうえで、司法として初めて、橋下市長の労働組合攻撃を違法として、大阪市当局の庁舎使用許可の裁量権を超えて、自治体労働組合が庁舎を利用する必要性を考慮し、組合事務所の継続使用を認めたこと、さらには、第3 として、使用不許可の理由として挙げた、労使関係条例の12条(便宜供与の禁止)について、それを適用すれば憲法28 条または労働組合法7 条に違反して無効であるとしたことである。

 自治体職員は、憲法15 条により自治体首長に奉仕するのではなく、地域住民全体に奉仕する職務が求められている。また、自治体労働組合は、それら職員の労働条件の維持改善や権利保障のための団体であり、その組合事務所は団結権等の保障において欠かせないものである。しかし、橋下市長は、これらの自治体職員や労働組合の権利や役割を否定し、市長就任後、組合事務所使用不許可、違法な労使関係条例の制定、「思想調査」アンケート、入れ墨調査アンケートなど様々な職員・労働組合攻撃を行い、橋下市長言いなりになる職員づくりを進める一方で、「市政改革プラン」による約380 億円の市民サービスの切り捨てを進めてきた。

 今回の判決は、このような橋下市長の就任以来の、職員・市民犠牲、独裁・強権的で憲法違反の市政運営に対する審判であり、原告側の事実と道理に基づく証拠や陳述、市長のためではなく市民のために奉仕するという自治体労働者、労働組合の役割についての市民的合意を求めて取り組んだ結果である。

 今回の地裁判決に対し、橋下市長は、「裁判所の完全な事実誤認」「地裁でなく、最高裁で確定すべき事柄だ」との考え方を表明し、市民の「控訴を断念せよ」の要請に背を向け、9月22 日控訴した。

 この控訴は、最高裁までの訴訟費用や市職員の人件費など大阪市民の税金の無駄遣いの何ものでもなく、正常な労使関係の回復と暮らし守る市政の実現を求める市民の願いに逆行するものであり、橋下市長に強く抗議するとともに、控訴の取り下げを求める。

以上

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