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大阪の再生を地域からどうすすめるか
  ―第6回衛都連OB・OG学習交流会開催

 2007年5月19日(土)午後2時より、大阪グリーン会館4階・大阪自治労連会議室で、2年振りに第6回衛都連OB・OG学習交流会を開催しました。

 いっせい地方選挙が終わり7月参議院選挙に向う狭間の時期もあって、参加者は13名と少人数になりましたが、「大阪の再生を地域からどうすすめるか」をテーマに学習と交流を行いました。久し振りに元気な顔を合わせ、全員が発言できて話が弾み、内容のあるつどいとなりました。

 第1部では、「消費者と生産者の連携による食の再生―イギリスの経験から―」と題して、樫原正澄先生(関西大学教授・当研究所副理事長)から約1時間の講演をして頂きました。

 日本人は『豊かな食生活』を享受しているといわれるが、食料の自給率は40%(03年度)で60%を輸入農産物に依存している。21世紀の世界人口の増大、地球温暖化と異常気象、環境問題などによる″食料の危機が迫っている中で低い自給率は重大問題である。

 先進資本主義国では、自給率を高める諸国の政策がすすんでいる。特にイギリスでは、穀物自給率が1961年で53%であったのが、年々自給率を高め1985年には111%になり現在もこの水準を維持している。イギリスの経験に日本は学ぶ必要があると強調されました。

 イギリス経済の陰の側面として、経済状況は好調だが経済的格差の拡大が続いており、ホームレスは依然として存在し、移民労働者の低賃金労働力に支えられている状況だ。

 また、イギリスの食と健康問題について、食生活の乱れによる肥満は大きな社会問題になっており、健康を損ねる状況が一般化している。20年前に国が学校給食に対する責任を放棄し、学校給食の質の低下がこの間に大きく進行した。イギリス滞在中に、学校給食でのファーストフード等の利用禁止が問題となっていた。学校給食改善のために2億ポンドの追加予算措置が行われた。ロンドンでは寿司(SUSI)は一般的に食べられていて、スーパーマーケットなどでも販売されている。健康志向の高まり、日本食への関心も高い。など興味深い話がされました。

 日本の食料自給率を高めるためには、日本農業の再生が不可欠である。農業就業者の高齢化のなかで若い農業の担い手を得るために、やりがいと農業経営が成り立つ国の政策転換が必要である。また、消費者の側では、「食の安全」への学習や「食育」の推進と実践、農業生産者への理解を広げることが重要と指摘されました。とりわけ学校給食を通して「食」についての教育の重要性が強調されました。

 輸入農産物に頼らず、新たな農産物流通の方向として「地産地消」の観点から、生産者と消費者との連携を強めること、地域から食と農の再生をめざすことの重要性などが語られました。

 第2部は、講師の樫原先生も交えて、軽食と飲み物も入り和やかに懇談を行いました。

 「いわね良さんを励ます吹田市職員OBの会」代表の萩原昭夫さんから、4月の吹田市長選挙で大奮闘された取り組みの結果の報告と支援カンパへのお礼がのべられました。前市職労執行委員長のいわね良さんが「市民とともに歩む市長をつくる会」の候補者として立候補。現職に惜敗したが、4万4811票を得て大善戦。「市職員OBの会」は、元助役や多くの元管理職を含む3百数十人のOBのメンバーが大奮闘しました。結果は残念だったけれど、今後も「市民本位の市政」を実現するために「市職員OBの会」の活動を継続して、次回の勝利をめざすことを決めたことも報告されました。

 また、昨年7月に誕生した東大阪市の長尾民主市政を継続・前進させるために、大阪研究所も関わっている「東大阪市政研究会」の活動とも関連して、吹田市や東大阪市、堺市などで自治体問題研究所が呼びかけている「まちの研究所」づくりの推進について意見が交わされました。

 特に、「まちの研究所」は、革新・民主市政をつくり、それを支えるシンクタンクとして、どこかで一日も早く実現することが大事。吹田が一番乗りか? そのためにも元自体職員OBが経験を活かして、地域で重要な役割を担えるよう取り組みを強めようと話し合われました。

 泉佐野の水脇一夫さんからは、憲法改悪を許さない地域での活動に関わって、元市長と一緒に「泉佐野9条の会」の呼びかけ人になって幅広い人たちに呼びかけている。元管理職も賛同して参加されている報告がありました。多くの衛星都市でも「地域の草の根から」平和憲法を守る活動に、退職者OBが大いに活躍していることが報告されています。

 国会では改憲派が多数を占め、国民投票法が自公の横暴で強行されるもとで、憲法改悪を許さない国民の一人ひとりの決断が求められる段階に入り、これからは地域での活動が勝負となります。

 また、福原寿一さんからは、町内会会長として地域の浸水対策にとりくみ、行政に働きかけを行い解決の方向で進んでいる活動が報告されました。

 その他、年金者組合、地域革新懇、市民NPO、市会議員活動等など多様な分野で頑張っている経験が出されました。

 今年からいわゆる、団塊の世代の定年退職が始まり、現役を退いて地域活動に参加する自治体職員が増えていきます。『おおさかの住民と自治』(06年8月号特集「やってみなはれ地域デビュー」)でも紹介されたように、これからの高齢化社会において、地域住民の自治能力を高めるために公務労働を経験したOB職員の果たす役割がますます期待されるところです。

 これから定年退職を迎える「団塊の世代」のみなさんが、退職してから高齢期を活き活きと豊かに生甲斐を持って過すことが出来るよう、今から考え、一緒に学び、活動して下さることを大いに期待しています。

(研究所理事 徳畑 勇)

上記、行事での当日配布のレジュメ・資料等、及び報告集等について必要な方は、(社)大阪自治体問題研究所までお問い合わせください。

ただし、残部数の関係でご希望に添えない場合もあります。また有償によるものもありますので、ご承知おきください。
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