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第10回おおさか自治体学校
   ―――― 東大阪・生駒の市長を迎え開催される― 

 8月26日〜27日、第10回おおさか自治体学校が、東大阪市石切・ホテルセイリュウで開催されました。テーマは「くらし・地域経済・環境と自治体の役割を考えるサステイナブル大阪をめざして」。2日間で135人(のべで160人)が参加し、盛況でした。

 生駒山をはさんで、東大阪市と生駒市と隣接する2つの「民主市政」をめざす首長を迎えて、行われたことも今回の自治体学校の大きな成果でした。

 1日目の記念講演は、植田浩史・慶應義塾大学教授が「地域経済振興の取り組み―ものづくりのまち・中小企業のまち:東大阪から考える―」と題してお話しされました。植田氏は、バブル経済崩壊後の日本経済における地域経済振興の必要等により、自治体における産業振興、中小企業振興の取り組みが重視されるようになったと強調。そして最近の大阪の自治体における産業振興施策の展開を、東大阪市、八尾市、大東市等の事例をサーベイ。第1期長尾市政が行った事業所全数調査が、施策展開の重要なツールとなっており、そうした全数調査が関西でも広がっていることを指摘。今後の課題として、商業、農業施策との関連、あるいは高齢化社会における地域経済振興政策、団塊世代の位置づけなどを考えていく必要性を強調されました。

 つづいて、特別講演にたった全国最年少の山下真・生駒市長は、前市長のハコモノ行政や大規模住宅開発にたいする危惧から、03年に住民投票条例制定の直接請求で開発行政の信を問う市民運動に参加し、市政改革を求める市民の声を背景に市長にダブルスコアで当選。その後市政改革に精力的に取り組み、法人税収が少なく市民税に依存する生駒市にとっては、いかに新しい住民を増やすか、子育てを支援し若い世代に定住してもらうかに政策の重点をシフト。ハコモノ行政から脱却し、福祉や環境などのソフトの政策を展開し、30人学級、学校給食の自校方式への移行、校舎の耐震化、学童保育時間の延長、保育園の新設、廃プラ全市収集を具体化。国の三位一体改革のなか、財政が制約される状況の下で、市民への徹底的な情報公開と市民参加が重要であると強調。これからの自治体経営は、市民、職員、議員、首長の自立が必要であり、国に対しても主体的にもの申すことが必要と指摘されました。

 また、この6月に再選を果たした長尾淳三・東大阪市長は歓迎のあいさつにたち、当選したのは今の政治や行政を何とかしてほしいという市民の声が高まっているからであり、人が人として地域で能力を発揮できる社会、そうしたビジョンを実現したいと強調。それを実現するには、(1)市民世論の高まり、(2)行政としての決意、(3)具体的な理論と施策、の3つの条件が必要であることを指摘しました。
 このあと、特別報告が3本つづきました。(1)「ものづくりのまち・東大阪での実践から」(蠡膾綛作所・高田克己氏)、(2)「多重債務へ陥る仕組み」(司法書士・粟野友康氏)、(3)「自治体の市場化で住民のくらし・権利はどうなる?」(大阪自治労連・久保貴裕氏)

 2日目は「サステイナブル大阪へ安全・安心のまちづくりをめざして」をテーマにつぎのように、講演と報告が行われました。

基調講演「サステイナブル大阪をどうつくっていくか」(遠州尋美・大阪経済大学教授)
実践報告「環境・安全白書づくりで明らかになったこと」(藤永のぶよ・おおさか市民ネットワーク代表)
 報告(1)「泉南地域の石綿業とアスベスト被害」(林治・泉南地域の石綿被害と市民の会・世話人)
 報告(2)「大阪に『食の安全・安心推進条例』を」(飯田秀男・大阪消団連事務局長)
 報告(3)「大阪府内自治体の廃棄物処理財政と民間委託」(兵頭睦生・大阪自治労連清掃部会)
 報告(4)「大阪府環境情報センター統合構想について」(左海三智子・大阪府職労総務支部)

 午後からは、宮本憲一氏が出演した泉南地域のアスベスト被害のテレビ番組(NHK「関西クローズアップ」)をビデオ上映し、その後、予定発言(1)「韓国・釜山子育て交流報告」(前田美子・大阪保育運動連絡会副会長)、発言(2)「大阪市政改革とサステイナブル・シティ」(齋藤彰英・大阪市役所労組)を受け、活発な討議が行われました。

 最後に、今回のおおさか自治体学校の「まとめ」として、鶴田廣巳・大阪自治体問題研究所理事長が、つぎのように発言しました。

 今回の自治体学校は、生駒おろしの風が吹き、奇しくも2人の市長が参加され、大阪の自治のゆくえを左右する歴史的な学校だった。そのうえで3つの論点を整理。(1)サステイナブル社会をめざし、くらしの基盤をどうつくるかという意味で地域経済の再生が重要であるが、その方向は「地域産業創造型」の道をとるべきだと植田氏が提起し、それは全数調査にもとづいたいわば「植田モデル」というべきというものだ。ものづくりの裾野を守る、ローテクを守ることも重要である。(2)安心・安全な社会づくりという点では、泉南地域の石綿被害でわかるように、「公害は終わっていない」実態が明らかにされた。あらためて公共部門の役割と意義が強調されるべきだ。大阪府の公害・環境行政の後退はゆゆしき事態だ。(3)自治体と住民のパートナーシップという点では、山下市長が実践しつつある情報公開と市民参加が重要である。

 2日間、盛りだくさんの内容で、参加者の皆さま、お疲れさまでした。また、講演・報告をいただいた皆さま本当にありがとうございました。

(事務局 織原)

上記、行事での当日配布のレジュメ・資料等、及び報告集等について必要な方は、(社)大阪自治体問題研究所までお問い合わせください。

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