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第9次岸和田市政白書 財政問題中間報告 [2/10]

第9次岸和田市政白書 財政問題中間報告

1章 「長期債務累積」型財政危機と地方財政対策 

 1節 地方財政全体としての財政危機の現局面 

 1998年度に入って地方財政危機は新しい局面を迎えた。それは既に1996年段階から財政危機が表面化していた大阪府や岡山県だけでなく、富裕自治体といわれてきた大都市圏の東京都や神奈川県、愛知県等の府県財政が次々に深刻な税収不足が顕在化して、「財政非常事態宣言」を出すという事態に陥ったことである。こうして、1998年度都道府県財政の決算では、東京・神奈川・愛知・大阪の4団体が実質収支で赤字となり(都道府県の赤字団体の発生は、1981年度以来17年ぶり)、また全都道府県の全団体合計でも872億円の赤字(全団体合計額の赤字は20年ぶり)を計上した。経常収支比率も全団体平均で94.2%と、集計開始以来最も高い水準に達し、また公債費負担比率の平均は15.6%に達し、警戒ラインの15%を超えている府県数は35団体になっている。

 また市町村財政においても、財政硬直化は同様に進行している。ちなみに、実質収支赤字団体は前年度より倍以上になったとはいえ、まだ28団体を数えるのみだが、公債費負担比率が15%を超す団体数は、全体の6割1,939団体となっており、その団体数は1992年度時点と比べるとほぼ倍増に近い増え方をしている。

 こうしていま、地方財政は全体的に見ても戦後第三の危機の段階を迎えたとされている。しかし、今回の財政危機の原因を考えると、これまでの地方財政危機と比べて、その特徴は極めてわかりにくい。それはバブル経済がはじけて平成不況のもとで起きた1990年代の財政危機が、1970年代の大都市圏の地方財政危機と比べ、その現象形態が大きく変容しているからである。周知のように1950年代半ばの第一回目の地方財政危機は、農村部財政の危機であった。また、1970年代前半をピークとする戦後第二回目の地方財政危機は、大都市圏財政の危機であり、その原因も比較的はっきりしていた。しかし今回の財政危機は、これまでのように都市や農村という地域類型の視点から特徴づけることは必ずしも出来ないし、また現局面に至っても大都市圏の都府県の危機は深刻化しているが、1970年代のように全国的に大都市圏の自治体全体の財政危機が劇的に顕在化しているわけではない。

 現在の財政危機の第一の特質は、地方財政危機の深刻化に先立って、早くから国家財政危機の深刻さが先行して顕在化したことである。すなわち、1980年代の第二臨調「行革」の推進とバブル経済下の税収増によって、財政再建を達成(1989年に赤字国債=特例国債の発行ゼロ)していたかに見えていた国家財政が、バブルの崩壊と同時に歳入欠陥が著しくなり、再び膨大な赤字国債発行を余儀なくされて、財政再建が虚構であったことが明らかになった。このため政府債務が急激に累積して、主要先進国の中でイタリアを超えて最悪の水準に達し、1996年に国が「財政非常事態宣言」を出したことは、周知の通りである。

図表1 第二には、これとともに地方財政も、経常収支比率の悪化や地方債依存が高まり、急激な地方債残高の累積等がおこり、国に劣らず危機的な状況にあるといわれるようになった。図表1に見るように、地方財政の借入金残高は、2000年度末で184兆円(GDP比36.8%)に達する見込みとなっている。これは景気対策のため地方財政が動員され、また不況による地方税収の落ち込みや減税による減収補填のため、地方債の急激な増発がなされたからである。1991年度に比ベ10年間で、地方の借入残高(地方債のほか地方交付税会計の地方借入分も含む)は2.6倍、114兆円も増大している。

 こうしていま、国と地方をあわせたわが国の長期債務残高は、2000年度末には645兆円、GDP比129.3%と、第二次世界大戦の敗戦前夜の1943年水準に達すると見込まれ、「国家破産」の瀬戸際に立たされているといってもよい。これが如何に国際的に見て異常であるかは、EUに加盟するため各国に課された財政規律が、GDP比で単年度財政赤字3%(わが国では12年度当初で9.4%である)、債務残高は60%以下、という基準と比べれば一目瞭然であろう。

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