Reading Room  >  学童保育の全児童対策事業への一元化を許さない運動 −守口市の学童保育条例廃止の動きと闘う−

学童保育の全児童対策事業への一元化を許さない運動
 −守口市の学童保育条例廃止の動きと闘う−

大阪自治労連関連評学童保育指導員労働組合連絡会・上垣優子

1  守口市の学童保育施策

 守口市は1988年「留守家庭児童会条例」を制定して、学童保育を安定した市の施策として位置付けました。しかし、市当局や議会の一部には「留守家庭児童対策は、本来家庭や地域社会の近隣の人間関係の責任で行われるもの」とする遅れた認識が根強くあり、条例化も無料の保育料を3500円(当時)にするための「妥協の産物」という側面も否定できません。

 一方、市内の19小学校のうち4校で開設されないまま、この条例がスタートし、17年が経過した今も、市民の強い要望を踏みにじり開設していません。

2  全児童対策事業「わいわい活動」のスタート

 さらに守口市は、1992年全児童対策事業として大阪市で開始された「いきいき事業」や横浜市の「はまっこふれあいスクール」をいち早く見学し、1995年「小学校1年から6年生の児童および保護者同伴の3歳以上の幼児を対象」とし、活動時間内であれば「いつ来ていつ帰ってもかまわない」とする「わいわい活動育成事業」を、2校でモデル実施しました。

 この2校には、住民の長い間の要求に対し「空き教室がないので、開設はできない」と回答してきた校区も含んでおり、このため保護者の手でつくられ、地域に根を張って奮闘してきた共同学童保育所が運営できなくなり、閉所に追い込まれるという事態も生まれました。

 これはまさに住民要求のすりかえであり学童保育運動への攻撃といえるものでした。わいわい活動は、当初1中学校区に1カ所の設置目標でしたが、1小学校区1カ所へと拡大し、2006年度には19校区すべてに設置が完了します。

3  「わいわい活動」に対するわたしたちの見方

 守口市の学童保育指導員労働組合と守口学童保育連絡協議会は、「わいわい活動」の開始時点から、この事業の実施は学童保育を解消する方向をにらんだものであると位置付け、この攻撃に対し、ふたつの事業の違いを明らかにしていくことの重要性を確認しました。

 学童保育は、働く親を持つこどもたちの「遊びと生活の場」であり、「遊びの場」である全児童対策事業に解消されるものではなく、全校区での開設を早期に実現し、4年生以降も対象とする年限の拡大や、保護者の就労実態に見合った開設時間の拡大、土曜日の開設など守口市の学童保育施策そのものの充実と発展こそが求められていること。

 一方、地域にこどもの異年齢の集団がなくなったといわれて久しく、遊びや遊び集団が廃れてきており、また安全安心な遊び場の確保が求められる中、地域のこども達の放課後の受け皿として全児童対策事業「わいわい活動」は否定されるものではなく、むしろ充実発展させる事業であること。つまり、役割・目的の異なるふたつの事業を統合するのではなく、共に充実させることこそが、守口市のこどもたちにとって「最善の利益」であること。

 これらを、学童保育実践をとおして学んだ指導員が、自らの仕事の専門性を高めることを課題とし、さらに保護者とともに学童保育の固有性をアピールする市民ニュースを共同で配布、「こどもを守る守口市民の会」にも結集して共同の署名に取り組むなど、運動をすすめてきました。

4  あくまで「学童保育つぶし」を狙う守口市

 無料で施設設備も充実した「わいわい活動」、5000円(当時)の保育料をとりながらクーラーもない「学童保育」。当然、市は学童保育利用者が「わいわい活動」利用へと変わることを期待していたのですが、継続した毎日の生活の場にはなりえない「わいわい活動」は、学童保育に取って変わることはできず、圧倒的に多くの保護者が従来の「留守家庭児童会」を選択したのです。

 そこで、市は「わいわい活動」に若干の「学童保育」機能をもたせようと、届け出れば帰宅せずランドセルをもったまま来ても良い、長期休暇時は弁当持参も許可などという緩和策を講じ、同時に5000円の保育料を10900円にするという大幅な値上げを議会に提案しました。

 指導員組合と保護者は連日の抗議行動を行い、800人近くを集めての反対集会を開催しました。値上げを撤回させることはできませんでしたが、翌年からではなく3年かけての暫定的値上げとなりました。(同時に保育料の算定方式として、その年の決算から国・府の補助金を引いた金額の2分の1の額を、翌々年の親の負担となる保育料収入として設定することが決定、毎年保育料が変動することになる)

 この10900円という保育料は、今でも大阪府内の公立学童保育では最も高い金額です。高額な保育料を徴収しながら、学童保育施策の充実には背を向け続ける市に対し、「どうして高い保育料を払っているのに学童は80人いても2教室しかなく、狭いところで、クーラーもガス設備もないのか!」と保護者の怒りの声が起こるのは当然でした。10900円の保育料が払えなくなり、学童保育を退所し、泣きながら「わいわい活動」へ移る親子も生まれてしまいましたが、学童保育の利用者数は現在もほぼ維持されています。

5  学童保育条例廃止の動きと闘う

 2002年、守口市は「第二次行革大綱」の中で2004年度までに「留守家庭児童会」と「わいわい活動」の一元化を検討課題としました。しかし、これを追及する組合に対し教育委員会は「まだ白紙」「学童とわいわいの違いは認識している」などの回答を繰り返していました。

 ところが、昨年門真市との合併問題に、住民投票による圧倒的多数の市民の反対でストップがかかって以降、「学童保育つぶし」の動きが露骨になってきました。

 今年度から、こどもたちの登下校時の安全を守り続けてきた交通指導員や、長く親しまれてきた市民プールを財政難を理由に廃止するなど、いずれもこども達に関する予算をばっさり切り捨てた市は、つぎに「学童保育」と「わいわい活動」を統合するとし、新事業(仮称・わいわい児童クラブ)実施に向け「守口市留守家庭児童会条例」の廃止を行おうとしています。

 これに対し、組合はすばやく合宿学習会をもち意思統一、守口学保協と合同で7月初めには緊急の抗議集会を開催して、駆けつけた学童保育保護者OBや卒業生、市内の他団体の方も含めて150人を超える規模で成功させました。

 この集会以降、各保護者会を基礎にした署名活動や、各地からの支援も受けての駅、商店街、住宅訪問など街に繰り出しての宣伝署名行動で、すでに目標を上回る3万筆以上を集めています。「学童保育の廃止とそれに伴う指導員の首切り反対」を掲げて闘うわれわれに対し、市は「統合するのだから廃止ではない、学童は残る。しかし、指導員は事業がなくなり、職を失うことになるので、雇用は確保する」などと強弁しています。

 学童保育は専用の施設と専任の指導員が配置されることが必須の条件です。学童保育の専用施設を残しても、そこに専門性を持って働き続ける専任の指導員がいなくなれば、学童保育のもつ「こどもの発達保障」の機能を果たすことができません。守口市には、1年の雇用を繰り返し、何十年にもわたってこの仕事の専門性を追及してきた学童保育指導員が、大勢います。その宝を切り捨て、安上がりの有償ボランティアをシフト勤務で配置するなど断じて許すことができません。

 「指導員をクビにしても学童は残る」という市当局のまやかしを、守口の「学童保育実践」と保護者と連携して進めてきた「学童保育の改善運動」の蓄積をあらためて確信にし、広範な市民の「学童保育なくすな」の声をさらに大きくして打ち破る決意です。なによりもすべてのこどもたちの「最善の利益」のために。

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