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府民に犠牲求める大阪府2000年度当初予算 
 ― 主要プロジェクトはそのままで生活密着型建設事業費を削減、民間と市町村の役割重視、コスト重視の財プロ路線を具体化 ―

横溝 幸徳  (大阪府職員労働組合)
「おおさかの住民と自治」2000年4月号掲載

1.98年度に続き99度も赤字決算

一般会計の実質的歳出削減を打ち出す

 3月1日、2000年度の大阪府当初予算が発表されました。財政再建のため一層厳しい施策選択をするとして、2000年度にどうしても実施しなければならないものに限定して、通年予算として編成したとして、9月補正は微調整しか行わない方針を表明しています。

 財政規模は、一般会計が2兆9850億円、特別会計と併せた総額では3兆6327億円で、99年度9月補正時点に比べて、一般会計で2.4%、総額で1.3%伸びていますが、一般会計歳出ベース(準義務的経費、公債費、繰上充用金を除く歳出合計)では1.7%、370億円減少しています。

 財政の収支バランスは、98年度に102億円の赤字(9月補正後)となつたのに続き、99年度も109億円の赤字を見込んで2000年度収入からの繰上充用金が計上されました。以前に財政赤字を計上したのは石油ショック後82年度まででした。

財政規模   単位:百万円、%
区分 99年9月補正
A
2000年度当初
B
B-A  B/A 
一般会計 2,916,043 2,985,073 69,030 102.4
特別会計 671,823 647,685 -24,138 96.4
3,587,866 3,632,758 44,892 101.3

 

一般会計の内訳   単位:百万円、%
区分 99年9月補正
A
2000年度当初
B
B-A  B/A 
歳 入 府税 1,078,739 1,211,500 132,761 112.3
  法人2税 349,943 393,322 43,379 112.4
地方消費税 222,532 241,037 18,505 108.3
利子割 31,307 109,656 78,349 350.3
その他税 474,957 467,485 -7,472 98.4
地方交付税 302,922 280,000 -22,922 92.4
国庫支出金 411,210 406,803 -4,407 98.9
府債 319,690 262,709 -56,981 82.2
その他 803,482 824,061 20,579 102.6
2,916,043 2,985,073 69,030 102.4
歳 出 義務的経費 1,358,785 1,390,251 31,466 102.3
  人件費 1,005,026 995,005 -10,021 99.0
扶助費 73,327 72,857 -470 99.4
公債費 280,432 322,389 41,957 115.0
準義務的経費 402,157 465,602 63,445 115.8
建設事業費 420,924 380,335 -40,589 90.4
  補助事業 277,507 266,245 -11,262 95.9
単独事業 143,417 114,090 -29,327 79.6
一般施策費 723,949 737,985 14,036 101.9
繰上充用金 10,228 10,900 672 106.6
2,916,043 2,985,073 69,030 102.4

 

2.税収低迷で5307億円の財源不足の中、府債発行を抑制

99年に引き続き地方交付税に依存して財源確保

 府税収入は1兆2115億円で、実質税収(府税+税関連清算金収入−税関連精算金支出+譲与税−税関連交付金−還付金)では9339億円と99年度に比して279億円増加していますが、これは利息の高いときの郵便貯金の満期がきて利子割税収入が増えたためで、2001年度までの一時的要因です。

 法人二税は3933億円と99年度最終見込みの99.7%を計上していますが、これは80年度のレベルで、実質税収の42.1%と構成比は一層低下しました。

 府債の発行額は2627億円で、11年度9月補正後比で570億円減少しています。

 府債の内訳は、財源対策、減税補填を目的とするものが1343億円と半分を占めています。

 財源不足額は5307億円で、その対策として、起債の他に、地方交付税は2800億円、地方特別交付金37億円、減債基金繰入金からの借入れ1127億円、及び109億円の雑入で対応することとしています。

 しかし、大都市大阪ですら地方交付税が実質税収の3割にも上るのは、国と地方の税源配分のひずみの表れともいえます。

 ところで、法人事業税は、本来都市が提供する企業外環境につき受益者負担を求めるものですが、利益を課税標準としているため景気変動に極端に反応し、安定した都市政策を損なっています。府も外形標準の採用を国に要望していますが、その付加価値を課税標準にとの主張は消費に悪影響を及ぼすので賛成できません。むしろ、資本の投下場所の選択は、その企業に都市の環境が与える利益が税負担を上回る超過利益を含むか否かでなされるとの見地から資本の投下量を課税標準とする方が、都市環境が与える利益と税負担の間にバランスが生まれるし、自治体の判断でも実施できるのではないでしょうか。このルールは、環境に応じた企業立地の促進や、企業の住民買収、企業誘致のための特別の便宜をなくすのにも役立つと思えます。なお、外形課税に当たっては、都市環境の与える利益が成立の前提となる中小資本は超過利益がないので課税対象から外されるべきでしょう。

府税収入   単位:億円
年度 89 90 97 98 99最終 2000
税収 14,075 14,731 11,816 11,870 11,600 12,115
実質税収 13,320 13,510 10,503 9,577 9,060 9,339
  法人2税 8,351 7,982 5,277 4,322 3,945 3,933
実質税収に対する割合 62.7% 59.1% 50.2% 45.1% 43.5% 42.1%

 

公債費及び府債残高   単位:億円
年度 89 90 97 98 99当初 2000
公債費 1,085 1,934 2,251 2,514 2,804 3,224
府債残高 26,874 30,139 33,187 35,878 38,133 40,074
  (増加額)   ( 3,265 ) ( 3,048 ) ( 2,691 ) ( 2,255 ) ( 1,941 )
発行額 1,066 909 3,179 3,759 3,196 2,627

 

建設事業   単位:億円
年度 89 90 97 98 99最終 2000
建設事業 7,328 5,826 5,207 5,016 4,209 3,803
  補助事業 4,028 3,497 3,271 3,350 2,775 2,662
単独事業 3,300 2,329 1,936 1,666 1,434 1,141

 

3.主要プロジェクトに手を着けないが、建設事業責は削り込み

それでも負債残高は4兆円を超える

 義務的経費のうち人件費は99年度当初比で100億円の減(退職手当が149億円増、それ以外の人件費が249億円減)となつています。一方、公債費は、3224億円と99年度当初比で420億円増加し、負債残高も4兆74億円となる見通しです。

 建設事業費は3803億円で、99年度補正後比で406億円減少しています。国庫補助事業は2662億円で113億円減、単独事業は1141億円で293億円減で、単独事業を大きく削減しています。

 しかし、削減の中身を見ると、道路、街路事業や港湾整備事業は削減されず、治水対策と下水道整備で220億円、府営住宅建設費で190億円計410億円が削減されています。

 また、その水準も実質税収(府税+消費税清算金収入−消費税清算金支出−収入利子割市町村交付金)の34%となお高い水準にあります。

 そのうえ、主要プロジェクト及び事業採択後一定期間経過したとして再評価された15の建設事業で新たに凍結の対象とされたものはなく、府が一般会計から直接支出するものに限っても表のとおりとなつています。

 したがって、投資的経費がある程度押さえられたといっても、直ちに評価することはでさません。

 一般施策経費は7380億円で、99年度9月補正比で140億円の増加となっています。これは、事務事業見直しで195億円減した一方で、介護保険の導入で355億円増となつたためです。

 なお、事務事業の見直しの視点は、公的関与の必要性、公民の役割分担.受益者負担の促進、市町村との役割分担の促進、費用効果の改善であり、民間と市町村の役割重視、コストの重視で小さな政府を目指すものになつています。

主要プロジェクトへの一般会計からの支出   単位:億円
関空全体構想推進 127.7
本四架橋道路公団への出資金 11.4
りんくうゲートタワービル(株)支援 17.9
国文都市モノレール延伸 19.8
阪神高速道路事業促進 57.7
産業拠点立地企業事業展開補助金(2000年、2001年の2年間) 11.7
安威川ダム・狭山池ダム・槙尾川ダム 88.0
箕面、南阪奈有料道路への出資金 77.0

 

4.財政再建プログラムの試算以上に厳しい財政状況の下、民間と市町村と役割重視、コストの重視の財プロ路線を承継

府民の運動で一般施策削減の一部手直しも

(1) 実質税収は、99年度最終で790億円、2000年度当初で461億円、財政再建プログラムの見通しを下回っています。国庫支出金も99年度最終で88億円、2000年度当初で182億程度下回っています。

 一方、歳出面では、公債費は99年度最終で96億円計画を下回つていたのに、90年度当初で74億円程上回るに至っています。

(2) しかし、投資的経費が99年度最終で591億円、2000年度当初で797億円と、計画をかなり上回る減額(計画ではそれぞれ建設単独事業見直しで48億と80億、建設事業のシーリングで135億で、計それぞれ183億円、215億円の減額)がされました。

(3) 以上の結果、投資的経費削減後の財源不足額は99年度は704億ほど計画を上回りましたが、 2000年度当初では93億ほど計画を下回っています。

(4) 投資的経費の削減以外での財源不足への対応は、地方交付税と府債の増発、人件費の抑制と一般施策の見直しで行われています。

 人件費については、2000年度は1200人(知事部局200人、教職員1000人)の削減で120億円、普通昇給、特別昇給の停止により99年度2000年度の2年間で325億円の引き下げ効果を見込んでおり、98年度をベースとする人件費の見直し計画額410億円を上回るものとなつています。

 一般施策については、99年度は225億の削減計画に対して112億程度を実施し、2000年度は事務事業の見直しで190億円、公の施設の見直しで7施設を廃止し2億円の削減をみ込んでいるので、98年度をベースとして300億程度の見直しとなり、490億円の削減計画は必ずしも計画通り進んでいません。

 財政再建プログラムで掲げられた見直し事業の内、65歳以上の老人医療一部負担助成金の削減、民間社会施設職員への給与助成補助の削減、私学助成の対象者の限定などは2000年度予算に盛り込まれていますが、私学助成は98年度比で13.8億円の削減で計画の半分程度となり、公立病院設置市町村助成費の廃止や老人、母子、障害者の医療助成への対市町村補助率削減は実施時期が計画からずれ込み、放課後児童健全育成事業など事業の拡大や、乳幼児入院医療費助成事業や国民健康保険高額医療費共同事業補助など事業の継続に転換したものもあり、府民の運動が一定の修正を余儀なくさせているといえるでしょう。

(5) 歳入の確保対策として、計画では100億円を見込んでいますが、2000年度予算では、使用料、手数料について73件を値上げし20億(平年度ベース46億)、府有財産売り払いで47億の歳入を確保するとしています。使用料、手数料の値上げは計画の15億円をかなり上回る府民負担増です。


 本レポートは、「おおさかの住民と自治」通巻256号(2000年4月)、2000/4/15発行 から転載したものです。著作権法に基づき論文等へ引用する際には、出所を明記してください。

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