声明・提言等  >  「私たちが誇りを持てる 芸術文化の香り豊かな大阪を!」大阪の文化再生に向けた「提言」 [2015.10.19]

「私たちが誇りを持てる 芸術文化の香り豊かな大阪を!」

大阪の文化再生に向けた「提言」

・いま大阪の芸術文化は瀕死の状態です!!

 かつて大阪は近松門左衛門や井原西鶴が活躍し、道頓堀に五座が並ぶ、日本を代表する文化の栄える町だったのです。

 1970年代、公害に汚れ、文化不毛の地と言われた大阪。その中で1971年に誕生した黒田革新府政は、全国に先駆けて知事部局に「文化振興室」を設置し、自治体文化行政をスタートさせました。また、”草の根”からの文化振興をめざし「芸術文化団体事業助成」、「芸術劇場制度」など次々と実現、大阪の文化状況は活気づきました。大阪の芸術文化関係者は黒田知事を先頭に「大阪に文化のルネサンスを」のスローガンを掲げ、人々の文化要求にこたえ全国的にも注目された優れた文化施策をすすめました。その中で文化芸術団体の自主的な活動が発展し、1978年には思想信条や流派をこえて「大阪文化団体連合会」(大文連)が誕生。全国でも初めての府県レベルの文化団体の自主的な運動がスタートしました。

 しかし、79年に黒田府政が終わると共に「行財政の見直し、効率化」が中心となり、文化施設の見直しなど、文化行政は逆戻りしました。

 大阪府の文化予算は、一般会計の増加にもかかわらず、ピークの時の98年から今では10分の1程度にまで減少しています。特にここ数年の各種文化施設の相次ぐ閉鎖、文楽やオーケストラなどへの責任放棄は、大阪の文化状況を著しく困難に追い込んでいます。

 一度、壊してしまった文化はもとには戻せません。みんなで何とか再生への努力をしましょう。

・大阪の再生は地域密着型の経済と文化が一体となって可能になる

 経済を中心に東京一極集中で差をあけられ、焦って東京に追いつき追い越そうとして、東京の都市政策の追随をして失敗し続けて、今や二流のミニ東京になりさがっているといえます。

 私たちは歴史から教訓を学ばなければなりません。1970年代前半に世界の工業都市が重化学工業への移動によって、危機に瀕しましたが、その代表のニューヨークでは、大胆な緊縮財政をとるとともに、金融・情報などの産業の振興と、文化遺産やミュージカルのような大衆芸術の再生によって「世界都市」に生まれ変わりました。イタリアのミラノも、スペインのバルセロナも同様に、立派な第2の都市に再生しました。

 大阪もそれに倣うべきでしょう。幸い大阪には沢山の歴史的な文化・芸術のストックがありますし、それを活用することが大切です。産業も同じで、京都の企業は地域性を大事にし、京都の文化芸術のストックを上手に生かし成功しています。

 大阪が持つ新しい製品を生み出す力や中小企業の強みを活用するなど大阪独自の都市政策が大阪再生のカギではないでしょうか。

・芸術を自由に創り 文化を豊かに享受するのは 住民の基本的権利です。

 国レベルでは、「文化芸術基本法」が制定され、大阪府は「文化振興条例」が制定され、府下のいくつかの市でも同様の条例が施行され、文化芸術の法的根拠は確立されました。しかし残念ながら、大阪の文化芸術家が期待関心を寄せる「大阪アーツカウンシル」に見られるように、それに対する予算措置が伴わず、むしろ大阪では大幅な予算削減が行われたのです。また公立の「芸術文化中核施設」の建設を条件に、国から提供された、中之島の大阪大学跡地の一部(総合芸術文化センター建設予定地)をマンション建設用地に売却してしまったのです。

 大阪府文化振興条例は、文化芸術の担い手の主人公は国民であり、府・市民で、「文化を創造し、これを享受することが人々の生まれながらの権利である」と規定しています。

 文化行政に自治体が果たす役割は大きいものがあります。大阪府知事・大阪市長選挙が目前に迫る中、住民の芸術文化を享受する権利が守られることを切に望み、この「提言」を発表するものです。

・「提言1」豊かな文化を創造する環境を・・・

 大阪は、文化の創造の場としては、東京や近隣府県とくらべて大変厳しい状況におかれています。

 一方、大阪には多くの素晴らしいアーティストがいます。古典芸能に始まり、オペラ・バレエ、美術や文芸などあらゆるジャンルの芸術家が発表の場を求めています。しかし、公的インフラはほとんど進んでおらず、そのことが文化芸術の発展の足を引っ張っているのが現状です。やむなく多くの人材が流出しています。

 施設整備から見ますと、大阪府・市が有り余る財源を持っていた時には、民業圧迫をしてはいけないという理由だけで、その後は財政難を理由として、インフラ整備を回避してきました。しかし、人口が大阪市の1行政区程度の衛星都市でさえ、立派な文化ホールを備えていることからも、本当の理由とは考えられません。大震災を受けた兵庫県は大・中・小ホールを備えた県立芸術文化センターをオープンさせ、オペラ公演では新国立劇場を超える観客動員数を誇っています。京都も滋賀も立派なホールを建設して、その実施事業も目を見張るものがあります。

 大阪でも計画のある「新美術館」は言うに及ばず、総合芸術文化センターや、小規模の公演や集会施設をきめ細かく整備することが、文化振興に不可欠なことは、他府県が実証しています。

1.ぜひ早急なインフラ整備に着手していただきたいと考えます。また既存の公立文化施設を低料金で使いやすく提供して下さい。

2.「ワッハ上方」や「国際児童文学館」の機能を存続させてほしいと願っています。「文楽」「センチュリー交響楽団」「大阪市音楽団」ほかの芸術文化団体への支援を復活し、強化して下さい。

3.東京・京都・金沢などで実績のある、大阪市内中心部にある廃校、使っていない公的施設を芸術村や稽古場などに活用して下さい。

4.文化施設の使用料金、付帯設備料金の軽減はじめ、申込み条件の制限などの見直しを行って下さい。

 これらは行政が上から主導するのではなく、住民みずからの発意と行動を行政が支援するということも重要です。私たちも住民のコンセンサスを得るための努力を惜しむものでありません。行政の当事者の強い熱意と持続する行動が支えです。

・「提言2」子どもをはじめ全ての人々が芸術文化を楽しめるように

 高額な入場料に、どんどん高くなる消費税までも文化にかける。働く人たちは非正規雇用で、収入は大幅に減少。長時間労働は常態化。これでは文化芸術を鑑賞したくても出来ません。大阪の音楽会や演劇の市場規模は東京の10分の1にまで減っています。大阪府の人口は東京都の3分の2程度にもかかわらず、この数字は大阪の文化度を明確に示しています。今こそ大阪の人たちが芸術文化を気軽に楽しめる環境にすることが急務です。子ども時代に直接アートに接したことの無い人は、大人になっても劇場や美術館に行く人は少数だという調査結果が出ています。子どもたちにシャワーのように芸術体験を与えることが必要です。

1.ヨーロッパなどと比べても国・自治体による公的助成の少なさも一因となっています。大阪府・大阪市の条例にしたがい、必要な予算を付けてください。

2.芸術文化の指導者の育成も急務です。今行われている講座や講習会などを強化してください。また、行政内に芸術文化の専門家を職員として配置してください。

3.学校教育の中にも芸術鑑賞の機会を増やしてください。海外ではコミュニケーション能力に優れた効果が実証されている演劇や、日本の伝統的な音楽・舞踊を教育現場に導入していますが、積極的に専門家の協力を受けてカリキュラムに取り入れてください。

4.子供が校外で文化芸術に触れる機会を増やすため、「おやこ劇場」「子ども文庫」などへの積極的な助成策が必要です。

5.優れた芸術にふれ、豊かな文化を享受することは、人の心を癒し生きていくエネルギーを私たちに与えてくれます。働く人たちの労働時間を減らし、賃金格差をなくすことで、文化や健康に時間を使えるようにしましょう。

 この「提言」を生かすためには、大阪府がかつて行ってきたように、府下市町村との連携を強め、施設間の役割分担の調整、「府民劇場」「巡回展」などを復活することが大切だと考えます。また、在阪企業の理解と協力なくしては、「大阪の文化再生」は実現できないでしょう。今、再開発が進んでいる梅田北ヤードも緑ゆたかな公園とその中に大阪を代表する劇場が出来たらどんなに素晴らしいことでしょう。ニューヨークのセントラルパークのように、大阪の顔が出来るのですから!!

2015年10月

*この「提言」は以下の3団体が共同で、調査・研究した中からつくられたものです。

大阪文化団体連合会
大阪自治体問題研究所
大阪自治体労働組合総連合

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