研究会・調査活動  >  活動報告  >  第8回おおさか自治体学校 ― 公共性か 民間開放か ―サスティナブル社会の創造―

第8回おおさか自治体学校
   ― 公共性か 民間開放か ―サスティナブル社会の創造―

 9月4、5日の2日間、堺市の大阪健康福祉短期大学で第8回おおさか自治体学校が開催されました。2日間で昨年を上回る121人が参加し、熱心な学習・討論が行われました。

交通問題とサステイナブル社会をめぐって

 1日目の午前中は、タウンウォッチングが行なわれ、約30人が参加しました。堺の旧市内のまちなみや刃物といった伝統産業を見学、チンチン電車(阪堺電車)にも乗って、堺のまちの魅力を再発見しました。

 第1セッション(「交通問題とサステイナブル社会」)では、西村弘氏(大阪市立大学)「交通問題とサステナブル社会」をテーマに基調講演。これからの交通政策の基本理念として「人々の暮らしの中で自然なつながり方をいかに保障するのか」が課題になると問題提起しました。次に3人が報告。(1)「堺の路面電車」(金田徳蔵・堺市建築都市局副理事)、(2)「大阪市の赤バス(コミュニティバス)を現場から検証」(岩坪史憲・大阪市バス労組特別執行委員)、(3)「障害者の移動の自由と交通バリアフリー法の問題点」(千崎東亜雄・公共交通改善のための大阪市民会議)。

 これらを受け、予定討論を中山徹(奈良女子大学)と中村晶子氏(堺市職労)が行ないました。中山氏は交通問題をめぐる争点として次の4つを提起しました。(1)交通の目的をめぐって(21世紀は「移動を減らす」時代に)、(2)交通のデメリットの減らし方、(3)交通の担い手をめぐって(公か民か)、(4)まちづくりと交通(交通政策をトータルに評価する)。中村氏は堺の都市形成史をビジュアルに紹介、本来の堺のまちをとりもどすために阪神高速堺線の撤去を韓国・ソウルの清渓川復元(蓋掛道路撤去)の事例も紹介しながら提起しました。

住民の暮らしと権利を守る公共性の再定義  ―自治体再編・規制緩和と市場化との対抗―

 2日目の第2セッションでは、重森曉氏(大阪経済大学)が「自治体再編と自治体改革の課題」と題して講演、「分権型福祉社会をめざす地方自治改革構想」を提案しました。次に、太田正氏(作新学院大学)が「水問題に見る官製市場の民間開放」と題して講演、「水の市場化」をめぐる国際・国内の動向を紹介し民間委託にいかに対応すべきか、問題提起を行ないました。

 つづいて、森裕之氏(立命館大学)が討論、団体自治の重要性、ナショナルミニマムの範囲、総合行政と地域内分権、民間委託で生じる具体的問題などを指摘しました。

 午後からは現場から次の6つの報告が行なわれました。(1)公立図書館を民間企業へ委託する動きと住民の権利(堺市立中央図書館・竹田芳則氏)、(2)公立保育所民営化に対しなぜ父母らが反対するのか(大東保育運動連絡会・大西泰治氏)、(3)消費相談業務の委託をめぐって(消費生活専門相談員・吉田万喜子氏)、(4)爐瓦潺▲鵐院璽鉢瓩ら考える公務労働の価値(全大阪消費者団体連絡会・飯田秀男氏)、(5)自立を選択したもとでリストラにどう向かい合うのか(高石市職労・吉田泰三氏)、(6)住民参加・PPPと公務労働者の役割(吹田市民NPO・高橋清美氏)

 フロアからも多くの参加者が発言(質疑)、活発な討論となりました。

 重森氏は、森氏の提起を受け団体自治のあり方が問われているとヨーロッパのサステイナブルシティ政策において、3つの地方政府の役割((1)公共サービスの供給者〈プロバイダー〉、(2)各種規制を行なう〈レギュレーター〉、(3)コーディネーター)が強調されていると指摘。総合行政については、今まさに公務労働者の新しい役割が問われているとし、次の3点を強調しました。(1)住民の主体形成を支える、(2)少子高齢化・情報化社会の到来にともなってこれまで以上に柔軟性、総合性、創造性が求められる、(3)地域の文化と個性を発揮するために民主的地方自治の確立を積極的に担う。太田氏はイギリスの事例をあげて、民営化にはコストがかかると指摘、今後さけられない民間委託には自治体がどこ(何)を守るのか、住民合意を形成して自主的に判断すべきであると提起しました。

 最後に、鶴田廣巳氏(関西大学)が2日間の自治体学校のまとめと閉会あいさつを行ないました。

 8回目を迎えた「おおさか自治体学校」。討論の論点を参加者が共有できるセッション方式も定着しました。少子高齢化、新自由主義的「構造改革」、自治体「リストラ」という複雑な時代の中で、自治体労働者・住民・研究者の3者が共通のテーブルにつき、これからの地域づくり・地方自治・自治体のあり方を学習・討論することがますます重要になっています。このような場として「おおさか自治体学校」のいっそうの充実・発展が求められていると思います。

 最後に、自治体学校成功に多大なご協力をいただいた堺市職員労働組合のみなさん、報告者、討論者のみなさんをはじめ関係者各位にたいして厚く御礼を申しあげます。

*追記 本稿は、第8回おおさか自治体学校の内容すべてを伝えるレポートとなっていません。参加者のみなさんからの感想・意見を積極的に研究所までお寄せ下さい。よろしくお願いいたします。

(事務局長  織原 泰)

上記、行事での当日配布のレジュメ・資料等、及び報告集等について必要な方は、(社)大阪自治体問題研究所までお問い合わせください。

ただし、残部数の関係でご希望に添えない場合もあります。また有償によるものもありますので、ご承知おきください。
プリンタ用画面
前
研究所第33回定期総会開催 ―都市と農村との連帯で 持続可能な地域社会づくりを!
カテゴリートップ
活動報告
次
研究所第31回定期総会開催 ―現代的地方自治の大きなうねりを!

コンテンツ
大阪自治体問題研究所

一般社団法人
大阪自治体問題研究所

〒530-0041
大阪市北区天神橋
1-13-15
大阪グリーン会館5F

TEL 06-6354-7220
FAX 06-6354-7228

入会のお誘い

あなたも研究所の会員になりませんか

詳しくは、入会のお誘いをご覧ください。

「案内リーフレット兼入会申込書」(PDF)

機関誌

「おおさかの住民と自治」

おおさかの住民と自治
書籍紹介

初歩からわかる「総合区・特別区・合区」

>>詳細

地方自治の再発見 不安と混迷の時代に

>>詳細

新しい国保のしくみと財政

>>詳細

これでもやるの?大阪カジノ万博

>>詳細

人口減少と公共施設の展望

>>詳細

リニア中央新幹線に未来はあるか

>>詳細

公共施設の再編を問う

>>詳細

企業誘致の闇

>>詳細

2015秋から 大阪の都市政策を問う

>>詳細

『自治・平和・環境』

>>詳細

「雇用・くらし・教育再生の道―大阪都構想・カジノからの転換」

>>詳細

「橋下さん!市民の財産を売りとばすんですか―大阪の水・地下鉄・病院のあり方を 考える」

>>詳細