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第7回おおさか自治体学校
   ― サスティナブル・シティ(維持可能な都市)・大阪をめざして 

 8月30日(土)〜8月31日(日)おおさか自治体学校が、枚方市のサンパレスひらかたで開催されました。両日で118名の方が参加しました。

 今年は、昨年の「サスティナブル・シティ大阪をめざして」を継承して、「おおさかの挑戦 サスティナブル(持続可能な・維持可能な)社会の創造」をテーマにしました。

サスティナブル社会の創造のために

 最初に、実行委員長の樫原正澄・関西大学教授が「サスティナブル社会の創造」と題して次のように基調講演を行いました。

 人間社会を自然環境の一環としてとらえることが必要であり、まちづくりを考える場合、歴史(時間)と地域性(空間)を重視することが大切である。人間と自然が共存するまちづくりが求められる。

 食料自給率は日本全体で40%であるが、大阪では2%にすぎない。地域でいかに食料を確保するかが重要で、「地産地消」が政府も含め大きな流れになっている。学校給食でも地元の食材を使う取り組みが始まっている。その流れの中でスローフード運動も展開されている。地域の食と農を結ぶ取り組みも全国各地ですすめられている。

 しかし、日本農業は90年代以降、生産額が縮小しており、農業就業者も高齢化している。基幹的農業従事者の51%が65歳以上である。その背景には農産物価格の低下がある。都市の住民が農民と連携して、棚田オーナー制度等の取り組みがあるが、やはり、農家が「稲の顔を見ながら」水管理・肥培管理をし、集落営農を維持することが大切だ。新規就農者は不況の影響もあるが、増加している。

 サスティナブル社会の創造のためには、(1)グローバル時代においても「地域内循環」を高めていくこと、(2)自然環境と社会環境の共存、(3)人間居住環境の総合性と全体性、(4)地域の愛着を持ちながら地域住民自治を確立すること、が必要である。

 樫原教授は、農業経済学の立場から、サスティナブル社会をどうつくるか、について、具体的実践例を交えながら、わかりやすくお話をされました。

 ひきつづいて、今年もセッション(全体会)方式で運営がされ、〈セッション?〉食の安全・食の文化、〈セッション?〉大阪産業サスティナブルプラン、〈セッション?〉サスティナブル社会を担うもの―公務労働の再評価、3つのセッションで報告と討論がすすめられました。全体としてサスティナブル社会をいかに構築するか、が共通の焦点になりました。

「サスティナブル社会」のイメージが深まる

 最後に、重森曉・大阪経済大学教授が、サスティナブル社会について、次のようにまとめを行いました。

 サスティナブル社会とは、第1に人間発達を保障する社会であり、第2に「大量生産・大量消費型」社会から脱却し、「地産地消」、「職住接近」を実現した「循環型社会」であること、第3に都市・農村間、企業間、企業と市民、市民と行政、行政内部において「交流・ネットワーク型」の社会であること、第4に自治に根ざした社会であり、現在すすめられている大規模合併ではなく「小さいからこそ輝く自治体」をつくること、以上の4点をそなえた社会である。

 今年のおおさか自治体学校は、昨年の学校の成果を継承し、「サスティナブル社会」のイメージがより深まったものになりました。

 夕食交流会では、地元枚方の河内そうめんを食べながら、そうめん製造業の南さんからそうめんづくりの苦労話をきき交流を深め、食後には、研究所顧問の一法真證さんのサキソフォン演奏を聴き、豊かなひとときを過ごしました。

 参加者からは「『サスティナブル社会』の定義が理解できた」、「サスティナブル社会の構築こそが自治体がなすべき仕事だ」などの感想がよせられ、実り多い学校となりました。

 最後に学校成功に物心両面でご尽力をいただいた枚方市職労をはじめ関係各位にこの場を借りて御礼を申し上げます。

(文責 織原)

(資料)

【プログラム】

 基調講演 「サスティナブル社会の創造」
   樫原正澄(関西大学)

〈セッション?〉
 「地域と結びつき、食文化を育む学校給食」
    石川友美(大阪教職員組合栄養職員部)
 「元気の出る産直活動とスローフード運動」
    大津恵子(新日本婦人の会大阪府本部)
 コーディネーター:森裕之(立命館大学)
 討論者:山口英昌(大阪市立大学)
     飯田秀男(全大阪消費者団体連絡会)

〈セッション?〉そだち・くらし・環境
 「サスティナブル社会とモノづくり」
    長谷川哲夫(HIT〈東大阪金属加工業グ ループ〉)
 「環境の世紀のものづくり」
    柴田政明(?エイワット)
 コーディネーター:桑原武志(大阪経済大学)
 討論者:松井清充(大阪府中小企業家同友会)    中山徹(奈良女子大学)

〈セッション?〉サスティナブル社会を担う もの―公務労働の再評価
 「セアカゴケグモのその後―保健所の役割」
    西村平和(大阪府健康福祉部)
 「学童保育(土曜)打ち切りに屈せず自主保育で覆した父母ら」
    坂手崇保(茨木学童保育連絡協議会)
 「『自立』を選択した高石市民と自治体労働者」
    堀川和貴(高石市職員労働組合)
 コーディネーター:藤永延代(おおさか市民ネットワーク)
 討論者:遠州尋美(大阪経済大学)
     前田美子(大阪保育運動連絡会)

上記、行事での当日配布のレジュメ・資料等、及び報告集等について必要な方は、(社)大阪自治体問題研究所までお問い合わせください。

ただし、残部数の関係でご希望に添えない場合もあります。また有償によるものもありますので、ご承知おきください。
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