第29回研究所定期総会開催
   ―新理事体制確立・攻めの地域づくり・自治体改革へ

議案提案のあらまし

 さる6月8日(土)午後、大阪自治体問題研究所第29回定期総会が南森町の大阪グリーン会館で開催されました。本総会には、50名の会員が出席、書面(委任状)出席582名を含め641名の出席となり、定款上の成立条件(正会員の過半数の出席)を満たしました。

 会場の承認のもと、前田仁美・大阪府職労副委員長、柏原誠・三重短期大学講師の議長で議事がすすめられました。

 あいさつにたった重森曉・理事長は、最新の地方制度調査会の答申が合併しなかった市町村への対応(権限剥奪)や府県合併まで言及していることを紹介。住民自治の視点、農村と都市の共生の観点が重要であることを提起、今後の研究所の役割を強調しました。

 2001年度事業報告(第1号議案)は、木村雅英・常務理事が提案、この1年研究事業では、関西地域問題研究会や旺盛な受託調査など大きく発展し、そのほか組織活動では集中的な会員拡大ができず、他方、院生や自治体職員のOBで会員拡大がすすんだ点などが指摘されました(第1号議案および第3号議案は『おおさかの住民と自治』6月号をご参照下さい)。

 2001年度決算報告(第2号議案)は、織原泰・事務局長が提案、2001年度は会費収入では若干予算対比で下回ったものの、調査をはじめ事業収入が伸びましたが、依然として経常収入で人件費をはじめとする経常支出をまかなえるという安定的な財政基盤は築けていないということを指摘しました(決算書および予算書については『おおさかの住民と自治』2002年7月号4頁〜8頁を参照して下さい)。

 会計監査は、村中貴・監事が報告、厳密に監査を行ない、適正な財政管理が行われていることが報告されました。

 2002年度事業計画(第3号議案)は、森裕之・理事が提案、議案にそって関西地域の生活者の視点からのグランドデザインの提起や地方行財政の再生をはじめ、研究所の積極的な調査研究・学習教育活動の展開が必要であることが提案されました。

 2002年度会計予算(第4号議案)は、織原事務局長が提案、基本的には前年度決算をベースに予算を組んだことが報告されました。

 第5号議案として役員改選が、鶴田廣巳・副理事長より、理事長、副理事長、常務理事、事務局長、理事、顧問、評議員の提案が行われました(11頁〜12頁参照)。

自由な討論が展開される

 以上の提案を受け、質疑・討論に入り、8人の会員が発言しました。

 西浦会員(門真市職労)は、急浮上した守口市との合併問題に対応し、政井氏(元朝日新聞)や栗山氏(関経連)など一流のコーディネータ、パネリストを呼んだ市職労主催の市民シンポジウムを開催し、多くの市民が参加し成功した取り組み、まちづくり研究会で緊急に合併問題を考える「報告書」を出版し、市民に積極的に情報提供することの大切さを提起しました。

 中村会員(堺市職労)は、堺財政分析研究会を再建、活動を再開し、住民と情報を共有することの大切さを指摘、合併問題での市民的なシンポを行うことを報告しました。

 三浦会員(大東市職労)は、公立保育所6園すべて民営化するという市長の方針に、住民が立ち上がり、その可否を求める住民投票条例制定の直接請求運動の取り組みを紹介、市民への運動の広がりを強調しました。さらに、長期的なまちづくりの提言づくりを行い、攻めの運動を展開する必要を指摘しました。

 片岡会員(枚方市職労)は、「財政危機」のもと各種減免制度の廃止などで市民への負担額が55億円にのぼる一方、市は10年間で1000億円の公共事業を計画していることを指摘、そのために保育園の民間委託が提案され、組合としても保育政策の対案づくりを進めていることを報告しました。

 有田会員(吹田市職労)は、市政構想研究会が9月に政策提言を行う予定で研究を進めていることを報告。地域団体ヒヤリングなどの地域調査を積極的にすすめており、吹田のストックを活かしたまちづくりの提言を行いたいと発言。

 寺本会員(奈良市民)は、地元でシルバーパスの運動をすすめているが、住民運動をどう発展させるかという提起が研究所からほしいと要望しました。

 福原会員(松原市民)は、地元での合併問題学習会の取り組みや、自治会長として洪水対策にも積極的に取り組んでいることを報告しました。

 平岡会員(元衛都連OB)は、第5号議案に対する修正動議を行いました。提案にあった評議員(新任)の初村氏が調査活動に多数かかわっているので、理事に選任すべきと提起しました。これをうけ緊急理事会を開催し、鶴田副理事長が理事会として、動議を受け入れ、修正提案しました。

 最後に総括発言にたった木村常務理事は、8人の会員の発言を積極的に受けとめ、焦眉の課題となっている「民営化」、「市町村合併」にも対応しながら、長期的な地域の将来構想づくりが重要であることを強調。また、当面計画されている「研究年報5号」、「市町村合併」、「公立保育所の役割」の3つの出版物の積極的な普及や「地方自治入門青年講座」、「44回自治体学校」、「おおさか自治体学校」への参加を呼びかけました。

 採決にうつり、全議案とも、反対・保留はなく全会一致で拍手で採択されました。

 最後に、閉会のあいさつにたった後藤田弘・副理事長は、住民運動の息吹が反映されるような研究所づくり、大阪に住んでよかったといえるような地域づくりに貢献できるシンクタンクとしての大阪自治体問題研究所の役割を強調しました。

(文責 織原)

 総会に先立ち、記念講演「大阪800万人をささえる地域と中小企業づくり」(松井清充・大阪府中小企業家同友会事務局長」が行われました。大阪の事例をふまえた非常に興味深い内容でした。紙幅の関係上、次号以降にご紹介したいと思います。(編集部)

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