鶴田廣巳研究所顧問を助言者に、研究会を発足して約1年半、毎月1回、研究会を開催しています。現在は諸富徹著「私たちはなぜ税金を納めるのか」をテキストに、担当者を決めて報告論議しています。11月21日の第2章は「国家にとって租税とは何か」19世紀ドイツの財政学について、元国税のOさんが報告され、そののちみんなでわいわい話が弾みました。

 ちょうど「パナマ文書」に続き「パラダイス文書」が発表され、世界の富豪たちの税逃れが大問題になっている中での研究会でしたし、消費税10%への増税と法人税減税など、「国民にとって税とは何か」が問われるなかでの議論は、話題に事欠くことなく、2時間はあっという間に過ぎていきました。

 前回第1章19世紀イギリスの租税では、「税の支払いは国民の権利である」との認識でしたが、今回19世紀ドイツでは納税は国民の義務でした。内容は、19世紀経済を牽引したシュタイン・伊藤博文も学んだと言うワーグナー・ヘーゲルなど経済学者の理論がバンバン出てきて、なかなか理解が難しいのですが、印象的なのは、シュタインが「課税で資本を減じてはならない。あらゆる課税は所得に対してなされる。課税は所得の中から資本蓄積を行うのが不可能なほど大きくなってはならない」という課税の原則を教科書として残していたことでした。この考えが、伊藤博文を通して、近代日本に影響を与えたのでしょうか。

 次回は、12月19日(火曜日)午後6時から、

 研究所会議室で第3章「19・20世紀アメリカの所得税」を、国税OB楠さんが報告提議されます。終了を速めて忘年会をします。ご参加ください。