研究所第34回定期総会開催
  ―「まち研」をつくり、情報発信と組織の拡大強化を!

 2007年6月9日(土)午後1時15分より、(社)大阪自治体問題研究所第34回定期総会が、大阪市北区の大阪グリーン会館2階ホールで開催されました。総会には45名の会員が出席、書面出席(委任状)772名、計816名の出席で、定款上の成立条件を満たしました(定足数は509名)。

 鎌倉健理事が開会を宣言し、尼子美子さん(門真市職労)、坂本毅啓氏(大阪健康福祉短大)が選出され、議事がすすめられました。

 開会あいさつに立った鶴田廣巳理事長は、いま「国のかたち」が大きく変えられようとしている。経団連が出した『希望の国・日本』では(1)精神面を含めより豊かな国へ(2)公平な機会、公平な競争(3)再チャレンジ(4)世界から尊敬される国へ、など詳細にわたり提言を行っている。他方、90年代に始まった「地方分権改革」は変質し、新たな市町村合併による基礎自治体数300への再編、そのうえで道州制の導入という構想が出されている。いま重要なことは地域から議論をつみあげることだ。自治体レベルで「まち研」をつくり、対抗軸を示していくことが求められていることを強調されました。

 各議案については『おおさかの住民と自治』6月号総会議案特別号(4月末発送済み)に掲載されているので省略します。

 第1号議案(2006年度事業報告)は織原・事務局長が、第2号議案(2006年度決算)は、織原・事務局長が報告・提案。会計監査は、猿橋均・監事が報告。

 第3号議案(2007年度事業計画)は久保貴裕・常務理事が提案。第4号議案(2007年度予算)、第5号議案(役員の一部改選)、第6号議案(定款の一部変更)は、織原・事務局長が提案しました。

 つづいて、討論に入りました。各討論者の発言要旨を以下に紹介します。

◇渡部みどりさん(大阪府職労)
 第4回府政研究会を15日に開催する。先頃行った「水とみどりの健康都市」のウォッチングの報告。いかにムダで環境破壊の開発か。府は市場化テストを推進し、自動車税の催告、職員研修にまで分野が広がっている。また、府立3試験機関の統合問題で8月にシンポジウムを計画している。府民生活の視点から議論していきたい。参加を呼びかける。

◇初村尤而さん(都市行政コンサルタント)
 関西の2府4県の自治体問題研究所で合併研究会(「関西の市町村合併と自治体自立の研究会」)を月1回行っている。研究課題は、合併した自治体の検証と自立自治体の調査。8月京丹後市、伊根町の調査を行う。来年3月には研究成果を出版したい。

◇中山直和さん(大阪市役所労組)
 「常識がとおる市役所に」と運動に取り組んでいる。市政改革推進会議は財界丸抱えで、上山信一氏が退任しても市政の基本路線は不変だ。職員はあと1・2万人減らすとしている。旧同和地域での変化については、「解同」の支配が崩れている。住民自治の再生・まちづくりをどう進めるかが課題だ。研究所もこの分野での取り組みをお願いしたい。

◇久米盛次さん(東大阪市職労)
 昨年1月より、市政研究会に取り組み、6月に『東大阪の再生をもとめて』を発刊し、シンポジウムを行った。その後7月、長尾さんの劇的勝利によって、その後も市政研究会を継続し、上下水道庁舎問題での提言など3回の市民シンポジウムを行っている。今後も研究会を継続し、民主市政の前進に寄与したい。

◇柏原 誠さん(大阪経済大学)
 NIRA助成研究「指定管理者としてのNPOによる公共サービス供給の課題」を主に若手研究者で取り組んできた。6月末には報告書が出版される。ミッションをもつ公共施設においてNPOがサービス供給をすることの意義を提言した。若手研究者へのペイが7月以降されておらず、気持ちよく彼らが研究できるようにしてほしい。

◇廣瀬平四郎さん(大阪市OB)
 安全・安心なまちづくりにかかわって、上町断層が淀川の上を走っている。国は活断層の方針をもっていない。国は直下型地震に責任を持って指針を出してほしい。

◇吉田泰三さん(高石市職労)
 4月の市長選に向けて高石市政研究会をつくり、阪口市政の総括をおこない、『「自律・たかいし」への提言』を出版した。われわれの側が勉強不足、恒常的な「まち研」をつくり、実態調査・政策提言をおこなっていきたい。

◇黒田 充さん(自治体情報政策研究所)
 8年前に立ち上げた研究所のホームページの見直し、研究所の媒体の有機的連携等、研究所の情報政策の確立が必要。箕面の住基ネット問題への研究所としての関わりも必要ではないか。上勝町のテレビ問題で実態調査を8月に実施する。ボランティアを募集する。

◇有田八郎さん(吹田市職労)
 市長選では開発問題が争点となった。同時に自治体の公的責任、住民参加のあり方も課題である。今後、さまざまな住民団体と協力して、「まち研」づくりを追求したい。

 久保貴裕・常務理事がつぎのとおりまとめの発言を行ないました。

 9人の発言により、それぞれの皆さんが大阪再生の中心的な課題に正面から取り組んでおられるすがたが明らかになった。発言にあったように、旧同和問題、住基ネットへの取り組み、若手研究者への配慮、研究所の情報政策の確立ついて、取り組みを強めていきたい。大阪における地方自治の交流センターとしての機能の強化、来年、50回記念で自治体問題研究所発祥の地・大阪で開催される自治体学校の成功に全力をあげ、これを契機に研究所の組織の拡大と強化に力を入れることを強調しました。

 採決に先立ち、織原・事務局長から議決権行使書の提出状況の報告が行われ、各議案別では1号議案:賛成817通、2号議案:同816通、3号議案:同816通、4号議案:同816通、5号議案:同816通、6号議案:同816通、正会員数の80・3%、定款変更の条件である、正会員の4分の3以上の同意が得られていることを報告。

 議長より、総会出席者にたいし、第1号議案〜第5号議案まで一括で挙手で採決を行い、第6号議案の定款の一部変更については別途挙手で行うことが提案されました。採決の結果、全議案とも全会一致で可決されました。

 最後に樫原正澄・副理事長は、会員拡大の訴えをし、理事会でしっかり議論して奮闘しようと閉会あいさつを行いました。

(文責 織原 泰)

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