泉佐野 「カジノ誘致」に反対する市民連絡会の取組み
泉佐野市政をよくする市民連絡会事務局長  竹崎 博一

1 はじめに

 泉佐野市政をよくする市民連絡会(以下、市民連絡会)を結成後6カ月、準備会からは1年が経過する。この間、2年半前に誕生した千代松大耕(ひろやす)市政の「暴走・独裁」ぶりを市民に知らせ、泉佐野市を「ブラック自治体」化させず、「市民の声が反映できる市政」に切り替えていく運動をすすめている。

 千代松市長は、当選するや、市職員への賃金削減攻撃、幼保一体運営の「子ども園構想」、市の正式名称の『命名権』売却問題、飼い犬税の検討、君が代・日の丸条例制定、ごみ収集の直営廃止、教育行政基本条例制定、挙句の果てはカジノ構想まで、橋下大阪市長の手法をまねたやり方を次々と打ち出してきた。

 こうした市民や職員への攻撃に対しバラバラに運動するのではなく、共同で対応しようと相談、12年12月に準備会を行い、13年6月「市民連絡会」を結成。

 準備会では、大阪市の運動を学ぶ学習会を行い、「市民連絡会」結成の集会では子ども園(幼保一体化)、学力テストの学校別公表など橋下大阪市長の教育つぶしの実態の学習会を行った。

  9月には「このままでは泉佐野市はブラック自治体に!」のビラを作成し2万枚を地域配布。

2 取組みを行うきっかけ

 第3回「泉佐野市政について語るつどい」(13年12月15日開催)のテーマに「カジノ誘致問題」を取上げたのは、「市民連絡会」結成を巡っての明るい会との交流で、カジノ関係の資料等を送付してもらったことが端緒である。その資料の中に、『関西国際空港対岸にある大阪府泉佐野市のりんくうタウンにカジノを誘致する活動を本格化させるために、同市が7/1付で部長級2人を含む8人を「統合型観光リゾート(IR)誘致担当」に就任させた』という新聞報道(「産経」13年7月1日付)があった。

  その記事をきっかけに、カジノ問題について、「カジノ誘致を考える会」「大阪いちょうの会」「大阪市をよくする会」のメンバー4人と泉佐野市で交流会(8月)をもてたことが大きい。その後も連絡をとりながら、つどいの内容も含めてアドバイスをもらっている。

  このつどいが、カジノ問題を考えるひとつの契機になればと思っている。

3 カジノをめぐる最近の動き

 さて、国の方では、カジノ解禁の賛成派で構成される超党派の議員連盟「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」が、13年12月6日、臨時国会にカジノを解禁するための法案を提出した。14年の通常国会での成立を狙っている。超党派議連には自民、民主、公明、日本維新の会、みんなの党、生活の党などの国会議員約170人が登録。安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相が最高顧問に名前を連ねている。

  現行の刑法でカジノは賭博に当たるため法整備が必要で、これまでも同議連を中心に解禁を目指す動きがあったが実現しなかった。

  議連が国会提出を目指している「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」の原案は、許可を受けた民間事業者が国の認定を受けた地域でカジノ施設や宿泊施設などが一体となった「特定複合観光施設」を設置・運営することができる規定を盛り込んでいる。

  また、地方のカジノ誘致も主なものだけでも各地に20余が動き始めている。東京都は2020年東京五輪・パラリンピックで選手村や競技施設が建設される湾岸地域にある「お台場地区」へのカジノ誘致を目指しているほか、大阪市の橋下徹市長も前向きだ。関西経済同友会は昨年、舞洲(大阪市此花区)など大阪のベイエリアを第一候補とする構想を打ち出した。

  大阪府下では泉佐野市・大阪市以外にも、財団法人堺都市政策研究所や堺商工会議所が、堺市にカジノを建設する計画を立てている。

4 カジノ誘致の基本的な問題点

 問題点として、暴力団の介入、青少年への悪影響、ギャンブル依存症拡大、借金とそれへの親族の巻き込み、客の家庭生活・社会生活の崩壊、利権に伴う不正等が挙げられるが、中でも「ギャンブル依存症に苦しむ人を増やす」ことが問題だ。カジノが解禁された韓国の事例では、カジノ周辺でマフィアや売春行為、ヤミ金がはびこり、多重債務者の増加が報告されている。

  多重債務に落ち込む原因として、一番多いのが「生活困窮」。そして、次に多い理由が「ギャンブル依存症」だといわれていて、これは全体の約2割を占めている。依存症の原因は主にパチンコ。パチンコは今の日本の法的にはギャンブルではないが、射幸性が強いのが問題だ。

  そして、そのパチンコメーカー、ゲーム機器メーカーが、次に狙っているのがカジノだという。もしカジノが解禁されたら、多重債務どころの話ではない。ひどいギャンブル被害が起こる恐れがある。

  地域経済活性化のためにカジノ誘致を目指すというが、逆に地域の経済を衰退させるばかりで、健全な経済対策とはいえない。

5 おわりに

 今後、2014年5月の市議選挙、2015年春のいっせい地方選挙・市長選挙を視野にした市民に千代松市政の中身を知らせながら、市長批判だけでなく市民要求をくみ上げるビラ作戦も考えていこうと思っている。

  また、カジノ誘致に職員や金を使うのは、地方自治法と地方財政法に反することで住民監査請求、住民訴訟の対象となると考えられるので、その運動も課題である。

事務局だより

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